愛しくて苦しくてすごく嬉しい  


 温かな闇をくれる彼は黒い魔術師。
 呼び出されて、契約を交わし、
 肌を重ねて、同じ心を重ね合った。
 黒衣の中に抱きすくめられれば息もつけないほど苦しいけれど
 嬉しくてこの腕の中で羽ばたくことを夢見る。
 内に秘めた暗闇が、透けて見えても
 私の光であなたを癒し続けるわ。
 愛おしくて、たまらないから、あの深い瞳で見つめ続けてほしい。 
 
 神官の娘として生まれながら、
 背信的な生き方をしていることに何の後悔もない。
 これは、私が選んだことだから。
 誇りに思いさえしても後ろめたさなどないのだ。
 教えられた、嘘をつかず正直に生きることを
 守って生きているだけだもの。



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    恋十題by乙女の裏路地