ずっと前からただあなただけを見ていた


 どくん。どくん。
 彼を思うたび胸が高鳴る。どうしてこんなに好きなのと
 自信に問いかけながら、抗えば、軋む胸が痛みをかき鳴らす。
 初めて会った時、瞳で落ちた。
最初はあこがれ、そして仄かな想いを育てていった。
 心に棲みついて、私のことを捕えてしまった彼のことを少しだけ憎む。
 あの人の側にいる彼が、眩しくて、寸分の狂いもない時計のような
 二人がうらやましくて、憧憬を抱いていた。
 
 ……いつか、振り向いてもらえるの?
 振り切ることはできないまま、見つめるだけ。
 大好き。ただ心でつぶやきながら。
 


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  恋十題by乙女の裏路地