23. 獣


伶美は女の顔で今宵も俺を誘う。
そんな可愛い顔で笑われたら、もっと苛みたくなるやろ。
何度となく貫いて熱を与える。
餓えた獣の魂で、伶美を求める。
順番、逆やったかな。
想いを告げる前に、抱いたのは。
だけど好きやったんや。しゃあないやろ。
抑えられないくらいにお前が好きやねん。
「京、愛してるの」
「俺もや」
交わりとしか呼べない行為を毎日毎夜繰り返し、
この先に待っているのは何なのだろうか。
闇へと堕ちるままなのか、光の階段を駆け上がるのか
全く分からない。それでも求め合わずにはいられなかった。
存在理由さえいらない。
体の中に心があるならば、俺達は間違ってない。
欲しいのは、心も含めた全て。


獣でもええ。
それでも俺らは愛し合える。


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