空っぽな日常。
母しかいないことに疑問なんて感じたことはなく、
 それが寂しいわけじゃなかったけれど。
 虚しくて、心の中は穴だらけ。
 誰かが早く埋めてくれれば……。
 愚かな他力本願。
 私を解き放ってくれる何かを
 ずっとずっと探していた。
 バイト先のコンビニで、
 大好きな本屋さんで、
 ずっと、見つからないものを探し続けていた。
 そうすることで生きていると実感できたから。
 地方都市から、首都へと旅立ち一人暮らしをはじめる。
 母を残していくことへの罪悪感。
 最後まで、迷い続けてた私に彼女は言った。
「頑張れなんて言わなくてもあなたは大丈夫だもの。
 時々は帰ってきて顔を見せてね。行ってらっしゃい」
 涙がほろほろと止まらなかった。
 そんな彼女の気持ちに、仇をなすことをしてしまったのかもしれない。
 道ならぬ恋に堕ちてしまった私のことを許してくれますか。
 


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