ああもう夜のサカナになって
 漂えたらいいのに。
 栓ないことだわ。
 一緒に泳いでくれるだろうか
 海の深い場所で、一緒にたゆたうのは
 あなたではければ厭よ。
 腕を絡ませて、手を繋いで
 吐息も同じになって、さまよって。
 ああ、愛の言葉さえ紡げない。
 言葉を交わす術を失っても
 ただ二人はそこにいて、唇を触れ合うの。
 
 目を閉じていても
 どんな顔か分かるわ。
 あなたのことは残さず全部脳裏に描かれるから。

 鱗が見えて?
 尾ひれもあるでしょう。
 ほら、あなたにも。


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