39. 春風


穏やかな日差しが、気持ちよかった。
優しい春の風が心地よくて……。
夢さえ現実に感じてしまう妄想をして。
開け放った窓。カーテンが揺れていた。
咲き乱れている桜の花に目を奪われる。
いったいいつから眠っていたのかしら。
ああ……そうだ。
もうすぐ会える。
あなたと私の愛を受けて生まれてくるあの子に。
もういつ陣痛が来てもおかしくないんだ。
知らせを受けたあなたは血相を変えて飛び込んでくるだろう。
傷つけあい不器用な恋をして、
やがて私達は共に暮らし始めた。
信じられないくらいに綺麗で素敵なあなた。
私は今あなたに似合う女にになれているかしら。
きっとなれていると思うの。自信過剰じゃないわ。
3人で歩きたい。
赤ちゃんを抱くあなたを想像すると、笑顔でいっぱいになる。
あともう少し。もう少しで。


再び眠りの世界に誘われる。
陽の光はいつまでも優しく降り注いでいた。


back