笑顔が陰ってもただ側にいる  


強がっているだけの、あなたに手を差し伸べる。
 苦しい胸の内をどうか、打ち明けて下さいと願いながら
 無理に聞き出せないのは、彼女を余計に傷つけたくないから。
 たった一人と定めた主にして、恋い慕う女性。
 夕陽のような髪に触れてみたい。
 あの強い眼差しで射抜かれたら、切なさで胸が満たされる。
 その手に触れて、そっと温めてあげたい。
 何も持ち合わせなくても、あなたを想う気持ちは確かだから。
 笑顔が陰っても、また微笑むことができるように
 そばにいるから、だから、この手を取って。


 この瞳に映る空は、青く澄んでいる。
 貴女に出会い、恋して、こんなにも世界が美しく輝いていることを知った。
 



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    恋十題by乙女の裏路地