頬に触れる

 
                  

掌を添えて、指先で触れる。
温度のない頬は冷たく、冷えた感触を伝えてくる。
「乱華・・・・」
涙を流せない分、慟哭も激しい。
唯一人の弟。
本当は違うことをこの身で知っているけれど、その真実には触れたくはない。
私の存在意義というものを失ってしまう。
作られた存在であろうとも、私は彼女ーラエスリールーの守護者なのだ。
そして、この膝に抱いているのは弟だ。
それでいいではないかと自らを慰める。
「姉上」
虚ろな瞳が私を見上げる。
頬に触れる指。
しなやかな細い指先。
いつまで彼の側にいてやれるのか。
「ここにいるよ」
姉でなどないのに・・・。
お前はまだ夢を見て信じ込もうとする。
愛しい。
彼が、姉と呼んでくれることが私の心に喜びを与える。
悲しみが痛みとなって心に巣食っているのなら、側にいよう。
ラエスリールの代わりにはないけれど。
お前も彼女の代わりなど望まぬだろうけれど。
私の存在をお前が望むのならば。
ぐいと乱華の顎を持ち上げる。
「愛しているよ」
彼の唇に自分のそれを重ねた。
膝を枕にしていた頭を抱き起こして抱きしめる。
彼の体が震えているのを感じた。
私の体も震えた。
二人で禁忌の罪を重ねて・・・・。
癒えることなき傷を抱きしめて共に彷徨う。
愚かなお前と私。
孤独な世界でもこうしていれば寂しくない。
強く抱きしめる。
ここにいる時くらい、本当のお前になればいい。
強い力と壊れやすい心の不安定なお前でいいじゃないか。
この与えられた琥珀がなければ、何もない私でも
側にいて痛みを分け合うくらいはできる。
足りないものは、私がお前に与えるから、泣かないでくれ。
二人で罪を背負ったのだから、そんなに嘆くな。
一人じゃないんだ。



掌で頬をもう一度包み込んだ時、冷たい頬が、温もりを取り戻した。
一時のささやかな温もりだったとしても、お前が泣くのを止めたのなら、それでいい。



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みじかっ。
調子悪いみたいです、最近。
ドーパミンの分泌が!
乱華×緋陵姫というより緋陵姫×乱華ですね。
駄文ですみません。
読んで下さりありがとうございましたv

2003.11.24龍咲麻弥