砂糖菓子
クリスマスイヴの日、明梨と身も心も結ばれた。
ここまで来るのに2年近くかかったんだよな。
今時、珍しい?
いや、俺達はそれでいいんだ。
無茶なことしたらロクなことなんないの分かったしな。
明梨との初めての夜は大変だったけど、その分充実した物になった。
傷つけずに、気持ちよさを味合わせてやりたくて
ゆっくりと知らない彼女を見つめて、抱きしめて。
俺も何も知らないと言えば言えたけど、男だから、
一応、予備知識はあったが。
無理強いしてどうにかなるものじゃないしな、
気持ちが高ぶらないとしないものだろ。
一つになりたいと思った時にするというか、
いや、いつも一つでいたいけどな。
砌がしょっちゅう私の方を見つめている。
気のせいではない。結ばれてからというもの、
前よりずっとこっちを見るし、何なの?
「砌、どうかしたの?大丈夫」
俯く彼の肩を揺する。
「あ、いや何でもない」
「何でもなくないでしょ!さあお姉さんに言ってご覧なさい?」
砌の頭に手を伸ばして撫でてみた。
あ、サラサラだ。
「誰がお姉さんだ!誰が!」
少し大きな声で砌が怒鳴る。
「やだなあ、冗談じゃない」
「……変わったな、鈍い所は相変わらずだけど」
「に、鈍いって!私、大人になったでしょ?」
「……そうだな、身も心も大人になったよなお前」
にやっと笑う砌。
何かやらしいよー。
「妙な意味含まれてる気が」
「よく分かってんじゃん」
強く抱き寄せられる。
重力にしたがって床に倒れこむ。
正確に言えば押し倒されたんだけど。
「……う……ん」
深いキスが重なる。
砌の舌が私の口内で動くから、追い駆ける。
「や……」
耳元を噛んでいる彼の唇。
次第に体が熱くなってくるのを感じた。
「明梨、好きだよ」
耳の側で囁かれた甘い声にクラクラした。
吐息混じり。ここから何が始まるかもう知っている。
瞳を閉じて、降りて来る砌の体を受け止めて、
理性に別れを告げた。
肌にいくつものキスの雨が降り注ぐ。
その刺激に酔いしれながら、砌の背中にしがみつく。
温かくて広い、私だけの場所。
彼はいつだって優しい。
初めての時やっぱり怖かったけど、砌と結ばれることへの
期待で胸が膨らんでいたから、いつしか不安なんて
吹き飛んでいた。
乱暴に振舞ったりしなくてゆっくり愛してくれたから。
「好き……大好き……砌」
砌は指と唇を私の体の上で彷徨わせている。
熱に浮かされた声はいつもの自分の声とは全然違って聞こえた。
「俺も」
ドクンドクン。
一番ドキドキして少し怖い瞬間。
でもそれも一瞬だけ。
すぐに私を安心させてくれるの。
「砌……」
彼の頭をかき抱く。
入り込んできた温もりが、体中を支配する。
満たされた喜びで涙が零れた。
意識が戻った私に彼はこう言った。
「お前、また泣いて」
泣かせたくなんてないのに。
辛かった?
「ううん、違うの。嬉しくて。幸せだから涙が出たの」
「そうか」
柔らかく微笑んで砌が私の体を強く抱き寄せる。
何度か髪を梳いてくれて、口づけて、
「ずっと一緒にいような」
「うん」
優しい抱擁を感じながら、私は眠りについた。
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